【オンライン企画展】「大妖怪運動会」展 <その1>
妖怪美術館で2020年3月7日(土)〜2022年1月31日(月)開催の企画展「大妖怪運動会」展の内容を全てオンラインで公開することにしました。本企画展は当初2020年の1年間の企画展でしたが、新型コロナウイルスの影響で4度の休館をはさみ会期を1年延長し妖怪美術館史上最長の約2年に及ぶ企画展となりました。
このような状況下で、数ある観光地の中から小豆島の妖怪美術館を選び、また感染症対策にご協力いただいた上でご入館いただいた多くの皆様、本当にありがとうございます。また様々な状況でご来館を控えていくださっている皆様、落ち着いたら絶対に行くとメッセージを寄せてくださっている皆様ありがとうございます。全ての皆様へ感謝の気持ちをこめまして、展示内容を全て公開することにしました。
もし、妖怪たちのスポーツの祭典「大妖怪運動会」があったらならばと想像を膨らませた本企画展。妖怪だったら数年に一度の開催ではなく、もっと長いスパンで、88年に一度開かれるのはどうだろう?陸上だけでなく空も競技会場になるのでは?妖怪ならではの競技とは?と、様々な想像を巡らせながら企画しました。どんな競技でどんなパフォーマンスが繰り広げられるのか、皆さんも想像しながら楽しんでみてください。
はじめに
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の「大会ビジョン」は、「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」の3つです。個々人の価値あるパフォーマンスが互いに影響しあい、寛容な精神で互いに尊重することでさらに新たな価値を生み出し、それらを記録・記憶することで後世につなげていく。こうした人々の営みはスポーツだけに限らず、芸術・文化でも歓迎されるべきものであり、妖怪文化においても異論はありません。
妖怪文化は、古代からの伝承が江戸時代において都市化や科学の発達が進んだことにより、娯楽の要素とともに広まりました。それ以降、政治や宗教的な変革によって存亡の危機にさらされましたが、その姿かたちを変えながら、現代日本においても生き残っています。この文化が現代において盛り上がりをみせていることは、この文化に通底する「寛容性」にその根拠を求めることができます。すなわち、自然災害などの脅威や社会における人間関係のひずみ、個々人の心の闇など、さまざまな受け入れがたい事象が起こったときに、それらに名前を付けて何らかの妖怪に仕立て上げることで、その対象を明確化して娯楽的にとらえる。あらゆる不寛容な事象を寛容するきっかけが妖怪であり、人生における困難に対して、悲しみを抱えながらもこれを受け流し乗り越え、しなやかに生きていくことができる。こうした「寛容な精神性」が日本人のDNAに刻まれており、それはその象徴である「妖怪」によって、逆説的にその存在を証明することができるのです。
妖怪が象徴する日本人の寛容な精神性は、多様性と調和をもたらし平和な未来につながる世界の規範になり得ます。妖怪は、決して過去のものではなく、現代人が引継ぎ、新たなキャラクターを生み出すことで、未来に向けて進化させていくべきものなのです。
今回の企画展は、妖怪造形大賞に応募された作品たちがもし大運動会を開催したら、という見立てによって創り上げられました。妖怪界で開催される大運動会のなかで、各々の特技を発揮し、競い合っている様を表現しています。その競技内容は人間界ではありえない奇抜なものやユニークなものばかりです。各々の作品は、応募作者オリジナルのストーリーが施され創作されたものですが、当企画展においてはその意図を完全に反映して展示しているものではありません。これは、個々の作品が、その意匠によってストーリーの枠を超え、無限の想像力を与えるひとつの「媒体」となっていることの証明でもあります。本来フィクションの世界である妖怪が、リアルな世界にフィギュアとして表象化され、こうした見立てや鑑賞者の想像力によって無限の楽しみを与えてくれる。このように想像世界が拡がっていく一連の流れを、ぜひ「寛容」な心で感じていただければ幸いです。
さあ、妖怪たちの大競演をご想像ください。あなたにしか見えない世界がひろがっているはずです。
選手宣誓
大妖怪運動会は土・火・水・風・空と仏教の「五輪」をベースとして5つのカテゴリで注目の決戦が行われます。どこか特定の場所の代表というわけでもなく、それぞれが自分たちの能力を生かせる場所で競技を楽しむのです。
総合司会
本大会の開会式で総合司会を勤めるのは、オリーブを食べる小豆島の妖怪「オリーブ・ゴブリン・DX」妖怪の世界で大変人気の司会者のようですよ。(どこかでみたことがあるような気もしますが気のせいでしょう......。)ご自宅でも楽しめるオーディオガイドは、彼女が案内してくれますので、ぜひこちらも聴きながら読み進めてみてください。
ご自宅でもオーディオガイドがご利用いただけます。
臨場感たっぷりにお楽しみください。
本企画展はガイド番号No.13〜No.21で楽しめます。
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ようこそ「大妖怪運動会」へ
”妖怪の妖怪による妖怪のための運動会” この運動会では、なんでも見たいものが見られるらしい。全てはあなたの想像力次第。どんな場所で、どんな妖怪が、どんな競技で活躍するのだろうか?さぁ、イメージを膨らませてみよう。「大妖怪運動会」開幕!!
01|オープニングアクト
開会式を盛り上げるのは、妖怪ヒットチャート1000年連続No.1の大人気バンドの登場です。「猫鬼夜行」というバンド名から推測するに、妖怪たちを引き連れて会場内を練り歩くパフォーマンスがありそうですね。
02|総合演出は大忙し
最近の”ヒト”が行うイベントではプロジェクションマッピングによる華やかな演出がたびたび話題になります。本来はそこにないはずのものが現れ、一瞬にして消えていく、あたかも妖怪の見せる幻のようです。もしかしたら、あの国際大会も、あの人気歌手のライブパフォーマンスも妖怪の力を借りているのかもしれません。
03|聖火を灯す「蝋人」
大妖怪運動会では聖なる火ではなく「鬼火」を灯します。いわゆる聖火台もなんと妖怪が勤めます。でも体が蝋でできているから、どんどん溶けていってしまうのです。見ているだけでハラハラしてしまいそう。
04|移動する選手村
選手や聖火台が妖怪ならば、選手村だって妖怪です。お部屋にいるだけで競技会場まで連れていってくれます。でも、選手が競技中にどこかに消えて帰ってこないことも。クレーム多発で大会運営委員会が頭を悩ませているようですよ。
05|人気に偏りのある公式キャラクター
ああ、公式キャラクターあるあるですね。可愛いとか、怖いとか、ゆるいとか、感性はヒトそれぞれですからね。妖怪の世界でも賛否両論だそうです。
06|至急!医療班を!
妖怪だってスポーツをすればケガをすることがありまう。でも大丈夫、医療チームがすぐに飛んできて治療をしてくれます。天狗の秘薬で直してくれるなんて、心強いですね。
07|誘導係「こっちだよ〜」
マラソンやトライアスロンなど、競技会場を飛び出して行う競技では誘導係が活躍します。でも、なんとなく信用できない気がするのは私だけでしょうか?
08|すべてお見通し!
ヒトの世界ではカメラ判定でジャッジすることもありますね。妖怪の審判員は、沢山目がついていますし、見えない目でも監視しています。ズルはできませんね。
09|「こかし」に気をつけて!
これは皆さんも経験があるのではないでしょうか?何もないところでなぜか転んでしまう。それは「こかし」の仕業です。彼らに悪意はなさそうですが大事な一戦の時はどうかご勘弁願いたいものです。
10|あぁ、見たかったのに・・・・・・。
あるあるあるある!時差の関係で深夜や早朝に決勝戦が行われるなんて日は、うわぁ途中まで見ていたのに、ってね。録画を見るのとはちょっと違うんですよね。相撲が大好きな河童たち、さぞ無念だったことでしょう。
11|ゴミは必ず持ち帰りましょう
大きな大会を運営するにはボランティアの力も欠かせません。競技会場では清掃活動をする妖怪も現れます。妖怪たちは選手、観客、スタッフ、ボランティア、それぞれが自分の得意分野を発揮し、この大会を楽しんでいるようです。
第一弾はここまでです。オンライン企画展「大妖怪運動会」展は全3回に分けて公開予定です。続きはこちらから↓